やる気がない仕事ほど、辛いものはない。
毎日、重たい体を引きずって通勤をする。
ただ「給料をもらうために」仕事をする。
もしくは「ノルマを達成するために」仕事をする。
それではやる気は上がらない。
いつの間にか「仕事は楽しくないもの」と決めている。
モチベーションに関する研究で有名なダニエル・ピンクは、今までの方法では、個人も企業もモチベーションを上げて持続することはできないと説く。
アメとムチはアルゴリズム的な仕事には効果を発揮するが、ヒューリスティックな仕事には、むしろマイナスに作用する。ー「モチベーション3.0」ダニエル・ピンク
これは驚きに結果だ。
誰でもできるような、なんの工夫もいらない仕事をする場合は、高い報酬を与えたほうが成果はあがる。
しかし、世の中工夫がいらない本当の単純作業の仕事なんてほとんど存在しない。
工夫が必要な仕事=クリエイティブな仕事は、「これができれば、高い報酬を支払う」という方法では、むしろ成果がさがる。
はあ?高いお金をもらったほうが、やる気もあがるし結果もでるに決まってるだろ!
当然そう思うだろう。
しかし、世界中の研究で、それは誤りだと実証されている。
とある実験がインドで行われた。(その後アメリカやイギリスでも同じ結果)
ボールを的に当てたり、数字を暗記したり、想像力を必要とするゲームなど、「運動神経・創造性・集中力」が必要な、ありとあらゆるゲームを行ってもらった。
グループは3つ
①目標を達成した場合は2週間分の生活費に相当するお金を払う
②目標を達成した場合は1ヶ月の生活費に相当するお金を払う
③目標を達成した場合は5ヶ月分の生活費に相当するお金を払う
結果はどうなるか。
当然、③の一番お金が高いグループが最も良い結果をだすことは容易に想像できる。
しかし、結果は逆だ。
一番高額のお金をもらえるグループが、一番結果が悪く遅れをとっていた。
そして、一番お金をもらえないグループの結果が一番良い。
はあ?どういうことだ?ありえない!
だったら、会社は今までお金で釣って成果を出させようとしていたことは間違っていたのか?
個人的にも、よりたくさんのお金を稼ぐことをモチベーションにしていたことは間違っていたのか?
答えはイエスである。
短期的には結果がでる場合もあるだろう。
しかし、世界中で、ある程度工夫が必要なテストにおいて、全て同じ結果になった。
まったく、ありえない結果である。
あなたにとってのモチベーションは何か、なぜ頑張っているのか、それを考える必要がある。
例えば、「最低限の生活」も満たせていない状態、食料に困っている状態では、お金のモチベーションでも十分に効果を発揮する。
しかし、基本的に報酬を満たしている場合では、「これをすれば〜〜〜が手に入る」的な考え方では、モチベーションは持続しないし結果もでない。
「けど、お金をもっともっと稼ぎたいし贅沢もしたい」
そう思っている人は多いと思う。
結果として、お金を稼ぐことにフォーカスして、それだけがモチベーションになっている人は、結果としてお金を稼げない可能性が高い。
稼ぎたいと思う人がお金が稼げなくて、それ以外をモチベーションにしている人が成果がよく、結果的にお金を稼いでしまう可能性が高い。
なんて皮肉な結果だ。
結局ひとそれぞれやる気スイッチは違う。
けれど、条件付きの報酬でモチベーションが上がらないことだけは事実。
例えば
「私にとって重要なことだから」「単純に面白いから」「人が笑うのを見たいから」「この仕事で喜んでいる人がいるから、もっと喜んでもらえたい」「自分に成長のために」「家族のために、子供のために」「美味しいと言ってもらいたいから」「私の能力を役立てたいから」「少しでも世の中に貢献したいから」「価値あることを上達させたい」
など、そのような内発的なモチベーションが持続するし、結果もでる。
結果的に、お金も稼げる可能性が非常に高い。
例えば、ウィキペディアは世界的に有名であるが、あの記事を書いた人は無報酬である。
一方で報酬を払って記事を書いてもらったマイロソフトの百科事典はサービスを停止した。
他にも有名なものはグーグルの20%ルールである。
業務中の20%の時間は、仕事以外に好きなことをしていいというもの。
その好きなことをしてもいい20%の時間に、現在のグーグルの主要なサービスが生まれている。
世の中は、新しいモチベーションの時代に入っている。
わたしたちも「自分にとってのモチベーションは何か?」をもう一度見直したい。
特に、「最近やる気がでない」という人は試してほしい。
今回は、アメリカのベストセラー作家「ダニエル・ピンク」の著書を紐解いてみた。
他にもモチベーション・やる気についての本はたくさんある。
ぜひ、何か1冊読んで自分のモチベーションを見直してほしい。